時に西暦2000年




突如成層圏に出現した隕石らしき物体が南極に落下




その威力によって地球の地軸は変動し、海面水位は上昇




引き起こされた幾多の災いは大地を蹂躪




巻き起こされた戦乱は





幾他の生命を死滅させた





しかし





人類は生き延びた!







そして西暦2015年





復興を続ける人類に





新たなる災いが訪れる










EVANGELION NEPHILIM

EPISODE:1







『本日12時30分、東海地方を中心とした、関東地方全域に特別非常事態宣言が発令されました。
 住民の方々は速やかに指定のシェルターに避難して下さい』
辺り一帯に鳴り響くアナウンス。
それに従ったのであろう、既に周囲に人影はない。
列車を初めあらゆる交通機間はストップしており、道路には空のタクシーが幾つか見える。
そんな中、1人の少年が公衆電話に向い、受話器に耳を当てていた。

『特別非常事態宣言発令のため、現在、全ての通常回線は不通となっております』

やれやれ……まったくついてない……
受話器から聞こえてくるメッセージに嘆息し、受話器を置く
手元の2枚の写真に目をやり、そのまま腕時計で時間を確認する。
約束の時間までは未だ有る。
だが交通機間はストップしており、徒歩で行くには時間が足りない。
その上、決して穏かではない内容のアナウンス。

「しょうがない、シェルターに行くか。」
付近の看板でシェルターの位置を確認し、手元の写真を見ながら歩き出す。
写真にはそれぞれ、グラマーな美人の女性と赤いトサカのペンギンが写っている。
女性の方は胸に矢印で『ここに注目!』と書かれており、胸元を強調するようなポーズと相俟って乳房の豊かさを印象付け
ペンギンの方はトサカの先に矢印で『ここに注目!』と書かれており、男性用の櫛でトサカを整えながら、その鋭さを強調している。
「ペンギンの方は母さんのペットだろうけど……この人は親父の愛人かな?……」
答えのない呟きを口にした時、すさまじい轟音が辺りに響いた。
音の方角に振り向いた少年の眼前には、田園が広がっており、その先の山の稜線の奥で土煙が上がっている。
山の影から国連軍のVTOL戦闘機が群を成して現れ、
「なんだアレ?……怪獣?」
続いて現れた巨大な異形に少年は自分の目を疑った。



とある場所のとある作戦本部
そこでは多種多様のアナウンスが飛び交い、愉快では無い状況を逐一報告している。
『正体不明の移動物体は依然本所に向かって進行中』
『目標を映像で確認、主モニターに回します』
アナウンスと共に中央に映し出された巨大な異形の姿。
それを見て初老の男が口を開く。
「大体15年ぶりだね。」
近くに座るサングラスをかけた髭面男がそれに答える。
「ああ、間違いない。使徒だ」



ミサイルランチャー、ガトリング砲、リング光線砲、陽電子砲、メーザー砲、トゲ付きハンマー、その他にもどういう技術でどうやって搭載しているのか全く不明な、多種多様過ぎる程に多彩な武装を用い使徒と呼ばれた異形を攻撃するVTOL戦闘機群。
しかし使徒には何のダメージも与えてはいない。
それどころか使徒の腕より放たれた光る棒状の物で、機体を貫き堕され数を減らして行く始末。
「ホントに怪獣映画みたいじゃないか……」
少年の呟きに応えるかの様にまた1機、怪獣映画の軍隊の如く成す術なく落される戦闘機。
その戦闘機は少年の近くのビルに激突し爆発した。
発生した爆発は爆風を巻き起こし、爆風は衝撃となって少年を襲う。
少年は腕で顔を庇い、身体を屈め身を守りやり過ごす。
爆風が収まった頃に顔をあげると少年の前に青い車が飛び込んできた。
ドアが開き中から1人の女性が顔を出す。
「ごめ〜ん、お待たせ〜〜」
サングラスをかけてはいるが写真の女性。
約束の時間に待ち合わせをしていた筈の相手だ。
「とにかく乗ってシンジ君!使徒がすぐそこまで!」
だんだんと近付いてくる使徒と呼ばれる異形の巨人
少年、シンジは迷う事無く車に飛び乗った。



続けられる攻撃、攻撃、攻撃の雨霰。
作戦本部でその様子を見ている三人の軍人らしき者達に、オペレーターから報告が届く。
『目標は依然健在。第三新東京市に向かい進行中』
『航空隊の戦力では、足止めできません』
「総力戦だ。厚木と入間も全部あげろ!」
「出し惜しみは無しだ!!なんとしてでも目標を潰せ!!!」
興奮のあまりに軍人の一人が鉛筆をへし折った。
さらに攻撃の嵐が続く。
だが、なんの効果もなく、爆風と爆音と閃光の中で使徒は平然としている。
「なんて奴だ!! 直撃のはずだ!!」
「戦車大隊は壊滅…誘導兵器も砲爆撃も光線兵器も何もかもが、まるで効果無しか…」
「ダメだ! この程度の火力ではらちがあかん!!」
その背後で初老の男が落ち着いた様子で口を開く。
「やはり、ATフィールドか?」
「ああ、使徒に対し通常兵器では役に立たんよ」
サングラスの男はサングラスを押し上げニヤリと笑いながら答える。
そこへ血圧を上げ続ける軍人達に一報の電話がかかる。
「はい……わかりました、予定通り発動いたします。」



戦場からある程度離れた所で停車し、無線の音量を上げ、車中から双眼鏡で戦いの様子を観察している女性。
『全機、速やかに目標から離脱』
無線から流れる声。
「ちょっと…まさかN2地雷を使う訳!?」
肯定するかの如く戦場を飛ぶ戦闘機の全てが使徒から離脱
「伏せてっ!」
シンジを押し倒す様に覆い被さり伏せる。
同時に起こる閃光と大爆発。
爆炎が空まで吹き上がり、爆音と爆風が車を襲い、衝撃は車を吹き飛ばし幾度となく横転させた。



「やった!!」
作戦本部では軍人の一人が喜々として立ち上がり叫ぶ。
「残念ながら君たちの出番はなかったようだな。」
初老の男とサングラスの男を見ながら、軍人の1人が得意気に言う。
『衝撃波来ます』
オペレーターの報告と共にセンサーと主モニターの映像が消え砂嵐が映る。



「大丈夫だった?」
女性がシンジに尋ねる。
「なんとか、口に砂が入ったくらいです。」
「そいつは結構。じゃあ行くわよ!」
横倒しになった車に持たれて女性が言う。
いっせ〜の!の掛け声と共に背中で車を押す2人。
車を元の状態に戻した後、女性は手を払いながらシンジに話しかけた。
「ふぅ〜〜う、どうもありがとう。助かったわ」
「いえ、ボクの方こそ、葛城さんのおかげで助かりました」
「ミサトでいいわよ。改めてよろしくね、碇シンジ君」
ミサトと名乗った女性はサングラスを外し、ウィンクと共にそう言った。



『その後の目標は?』
『電波障害のため、確認できません』
「あの爆発だ。ケリはついている」
自信満々に言い放つ軍人の一人、他の二人も口には出さない物の態度は変わらない。
『センサー回復します』
『爆心地に、エネルギー反応!!』
「バンザ・ド!」
ある一つのイヤな結果予測に、思わず立ちあがって謎の言葉を叫ぶ軍人の1人!
『映像回復します。』
映し出されるのは緑色の液体に包まれながらも、ほとんど原型のまま残っている使徒。
仮面のような顔らしきものがもう一つ増え、異形度数が増している。
立ち上がって驚愕する軍人達。
「わ、我々の切り札が……」
「なんてことだ……」
「化け物め……」
失意と共に力なく椅子に座り込む軍人達。



「ええ、心配ご無用。彼は最優先で保護してるわよ」
所々損傷しながらも道路を走る青い車。
「だからカートレインを用意しといて。直通のやつ」
一応の応急処置が効いているのか、特に問題もなく順調に速度を出している。
「そう。迎えに行くのはわたしが言い出したことですもの、ちゃんと責任持つわよ。じゃ」
そう言って電話を切ると、なにやら考え込むミサト。
心中では項垂れているのであろう、何気なく漂うネガティブオーラにシンジは声をかけるのを阻まれる。
「あの、ミサトさん」
意を決してミサトに声をかける。
「ん、何?」
ネガティブオーラも失せ平静に戻り返事を返したミサトに、シンジは先程から心配していたことを聞いた。
「いいんですか?こんな事して」
シンジの目線の先にある後部座席には、先程応急処置の際に他の車より無断拝借したバッテリーが大量に積まれていた。
「あはー、いいのいいの。今は非常時だし。車動かなきゃしょうがないでしょ」
確かにそれはそうなんだが……
「それにわたし、こう見えても国際公務員だしね〜万事オッケーよ!」
それは信用できねえ
「説得力に欠ける言い訳……」
思わずシンジの口から出る本音に、誤魔化し笑いを強めるミサト。
「つまんないの。かわいい顔して意外と落ち着いてるのね」
「そんな事無いですよ、ただ、驚いても何が在る訳じゃないですからね」
耽々と告げるシンジ。
ミサトも、そう…とだけ呟き沈黙が二人を支配した。



「予想通り自己修復中か?」
「そうでなければ単独兵器として役に立たんよ」
初老の男の言葉に当然の事だと言わんばかりに答えるサングラスの男。
使徒の身体から緑色の液体が消え、眼窩のような部分が発光する。
次の瞬間、モニターが再び砂嵐へと変わった。
軍人達をはじめ作戦本部の中からどよめきが上がる。
「ほう。たいしたものだ。機能増幅まで可能なのか」
「おまけに知恵も付いたようだ」
「この分では再度侵攻は時間の問題だな」
初老の男とサングラスの男だけは驚きも無く、予測される事実を口にする。



二人を乗せた車はカートレインに乗って、急角度で地下トンネルを進行、下方に向っていた。
「特務機関ネルフ?」
名前だけは知っている組織の名を出され、鸚鵡返しに聞き返すシンジ。
「そ、国連直属の非公開組織。」
説明を加えるミサト。
「たしか…両親の職場ですね……」
「まあね〜、お父さんとお母さん、二人の仕事の事知ってる?」
「確か……人類を守る大事な仕事だと、先生から聞いたような記憶があります」



「これより本作戦の指揮権は君に移った。お手並みを見せてもらおう」
向い合っているサングラスの男と初老の男に対して軍人の一人が言った。
「了解です」
サングラスの男が静かに答える。
「碇君。我々の所有兵器では、目標に対し有効な手段が無いことを認めよう」
忌々しげに口にする1人の軍人、続けるようにもう一人が
「だが、君なら勝てるのかね?」
サングラスの男に皮肉混じりに尋ねる。
「そのためのネルフです」
碇と呼ばれたサングラスの男は確信を持って答えた。
「……期待しているよ」
捨て台詞を残しその場から退場する軍人達。
「国連軍もお手上げか。どうするつもりだ?」
初老の男が碇に訪ねる。
「零号機を起動させる」
「零号機をか? パイロットがいないぞ」
「問題ない。シンジが来る」



「あ、そうだ。お父さんからIDもらってない?」
「ええ〜っと…コレですか?」
持ってきた鞄を漁り、紙に挟まれたカードを渡すシンジ。
「ありがとう」
そう言ってミサトは受け取り。
「じゃ、これ、読んどいてね」
かわりに『ようこそ、NERV江♪』と書かれたファイルをシンジに手渡した。
シンジはそのファイルをパラパラと捲りながらミサトに尋ねた。
「……こんな物を見せて、何かする事になるんですかボク?」
ミサトは外を見ながら黙ったまま何も答えない。
「まあ……用も無いのにあの二人が呼ぶ訳ないと思ってましたけどね……」
シンジも窓の外に目をやりながら、独り言の様に呟いた。
「苦手なのね、ご両親の事が」
「苦手……なのかな?……父さんとは偶に会いますけど別にそういう気はしませんし……」
少々考え込んでから続けて、
「母さんは……滅多に会わないから…よくわからないです……」
「そう………」
再び二人を沈黙が包み込む。
やがて、カートレインは長いトンネルを抜け、広い空間に出た。
天井からぶら下がっているビル群が目を引き、ピラミッドのような建造物が見える。
「ほえ〜〜ホントにジオフロントだ。」
ファイルに目を通して知ってはいたが、実物を見て感動を覚えるシンジ。
「そ、これが私たちの秘密基地ネルフ本部。世界再建の要。人類の砦となる所よ」


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